当院でのパニック障害に対する鍼灸治療の症例をご紹介いたします。
2020年11月来院。
16歳の頃よりパニック障害による過呼吸や動悸があり、精神科に通院中。
きっかけは家族間でのゴタゴタで酷い時には手足の内側に蕁麻疹が出る。
ストレスや季節の変わり目に特に症状が酷くなり、家具や本を投げつけてしまうこともある。
現在は一人で出歩くのも不安で、初回の来院時はご主人が同伴。
精神科では抗不安薬と柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこりゅうこつぼれいとう)を処方されている。
イライラしやすい、怒りっぽい、疲れやすい、不眠、不安感、食欲不振、喉の異物感、肩こり、頭痛、胃痛、生理痛、生理前の諸症状など
舌診:紅舌・黄でややじ苔、歯痕あり。
脈診:沈細弱
腹診:胃土、肝相火、命門に邪あり
弁証:心肝火旺証、脾気虚によるパニック障害
ご本人の都合で2週間に1回のペースにて鍼灸治療を行っていく。
初回の治療では置鍼中に落ち着いてきたのか寝息が聞こえる。
月2回のペースでしか治療ができないため、自宅にて腹式呼吸を行なってもらうとともに、調子が良い時は散歩をしてもらう。
治療間隔が空いてしまうため一進一退ではあるが、徐々に動悸は減ってきて、蕁麻疹も出て来なくなった。
また、一人でも来院できるようになる。
3ヶ月が経過した頃には食欲も出てきており、以前よりも食べれるようになった。
7ヶ月目には多少の不安はあるが精神科医と相談の上、徐々に減薬を開始する。
減薬開始して1か月経過しても時々不安感が出ることはあるが、発作というまでの症状は起きていない。
その後は医師と相談のうえで、薬は調子が悪いと感じる時のみ服用することになり、またご本人の希望で鍼灸治療も終了することになる。
原因は家族間でのゴタゴタによるストレスで、心と肝という精神と関係する臓器が熱を持ったこと。
百会と内関でこの熱を取りながら、足三里も使用し脾という胃腸系の治療を行ないましたが、治療間隔が空いてしまうためこちらの方がやや不安に思うこともありました。
最終的にはご本人の希望もあり、最後まで治療することはできませんでしたが良い結果は出ていたのかなと思います。
しかし、治療には適切なペースがあるため、できるだけ最初の方は頑張って通っていただけると結果的には早期に良くなります。
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