【24歳女性】全頭型脱毛症の鍼灸治療の症例②

当院での24歳女性の全頭型脱毛症の鍼灸治療の症例をご紹介いたします。

円形脱毛症についてはこちら

全頭型脱毛症を発症してから鍼灸治療を始めるまでの経緯

2022年3月頃に脱毛が起きていることを友人に指摘される。

思い当たることとしては約2週間前に3回目のコロナワクチンであるモデルナを打っているため、ワクチンの副反応として脱毛症が起きたと思っていた。

皮膚科での治療は紫外線治療とステロイド治療を始めるが、徐々に脱毛箇所が増えてきて、多発型脱毛症になってしまい、なかなかその後も改善が見られないため、同年9月に当院に来院し、鍼灸治療を開始する。

約半年後の2023年3月に脱毛症は完治したため治療を終える。

しかし、約1か月後から再度、脱毛症が始まってしまい、今回は以前よりも脱毛速度が早くどんどん抜けてしまう。

お話を伺うと、4月から職場でのポジションが変わり、女性スタッフの中でトップのポジションになったことでストレスがかなりかかるようになった。

脱毛以外の自覚症状

アトピー性皮膚炎の既往歴あり、ほぼ毎日仕事終わりと入浴後に蕁麻疹が出る、汗をかきやすい、イライラしやすい、足の冷え、排便は1日4回、食事内容も仕事帰りに1人で焼き肉を食べに行くこともある

• 脈診：沈細弱脈
• 舌診：淡白舌、微黄苔、舌裏怒張ややあり
• 腹診：心下、胃土邪
• 気色診：肝胆白抜けあり、唇やや白っぽい

弁証および鍼灸治療について

※画像は治療経過

弁証：肝鬱化火証による脱毛症

治療方針としてはストレスにより身体にこもった熱を取るための鍼灸治療を週1回のペースで行っていく。

4月下旬から治療を始めるが、脱毛は約半年以上にわたり続いてしまい、毛髪の約7～8割は抜けてしまい全頭型の脱毛症となってしまう。

年が明けたころから脱毛が治まり、また3月いっぱいで仕事をやめる決断をされる。

春になり仕事をやめてから順調に発毛が始まってくる。

夏ごろには脱毛箇所は頭頂部のみとなる。

2024年12月いっぱいで全頭型脱毛症は完治されたため、治療を終了とする。

考察

今回の全頭型脱毛症の症例は珍しいパターンではないかと思います。

一旦、多発型脱毛症が治癒してから、約1か月後には再度脱毛症が起きてしまうというのはこれまで多くの方の脱毛症の治療をしてきましたが、初めてのことでした。

また、最初の多発型脱毛症はコロナワクチンの副反応の可能性もありましたが、おそらく副反応ではなくこの時もストレスが原因ではないかと考えられます。

この方の仕事は華やかな職業で子供の時に女の子があこがれる職業の1つではあります。

しかし、実は非常にブラックな世界であり、私の友人も同じ仕事をしていましたが寮から夜逃げしました。

多発型脱毛症が治癒したタイミングでポジションが変わり、ダイレクトに上司から叱責されることが増えたことによるストレスで脱毛症が再発してしまったと考えられます。

仕事を辞めてからは順調に発毛が始まり、再発してから1年以上かかってしまいましたが、ご本人もあきらめることなく鍼灸治療を継続していた開けたことで治癒しました。

全頭型脱毛症の症例①はこちら