中高年の方が悩む症状の一つである夜間頻尿について。
夜間頻尿とは夜中に何度もトイレに行きたくなる症状になります。
多い方では夜中に3~4回ほどトイレに行きたくて目が覚めてしまうため、睡眠の質の低下を招いてしまいます。
主に中高年の方がこの症状に悩まされることになり、男女比はそれほど変わりはありません。
夜間頻尿の原因はいくつかあります。
夜間頻尿の主な原因は上記3つとなります。
やはり、この中でも多いのが膀胱の蓄尿障害になります。
膀胱の機能が加齢とともに弱くなってしまうことで、膀胱に尿をたくさん溜めることができなくなり、少しでも尿が溜まることで尿意を感じてしまうことになります。
また、夜間頻尿と言っても2パターンが考えられます。
前者は膀胱に問題があると考えられますが、逆に後者であれば睡眠の質に問題があることになります。
膀胱には毎分約1mlの尿が溜まっていきます。
そして、約150〜200mlほど溜まることで、尿意を感じることになりますが、膀胱の蓄尿量としては300〜400mlほどは膀胱に溜めることができるようになっています。
そのため、日中においても尿意を感じる感覚としては2〜3時間ほどで尿意を感じることになります。
しかし、夜間頻尿の場合は少し尿量でも尿意を感じることになるため、目が覚めてしまうことになります。
夜間頻尿の場合の病院での治療法はどのような治療があるかというと主に以下の3つになります。
夜間頻尿の治療をする際にも生活習慣の改善は必要となります。
まずは寝る前の水分摂取量が多ければ、それだけ尿を作ることになることは誰でも分かることかと思います。
また、カフェインも利尿作用があるため、こちらも控える必要があります。
塩分摂取に関しては血液中の塩分濃度が高くなることで、喉が渇き、水分を欲することになるため、やはり控える必要があります。
その他にも運動をすることによって体に溜まった水分を汗として排出することも大切となります。
夜間頻尿の場合でもやはり薬が処方されることもあります。
特に尿量をコントロールする抗利尿ホルモンである「バゾプレッシン」の分泌を抑えるための薬が処方されることになります。
最近の病院では漢方薬として「八味地黄丸」などが処方されることもあります。
また、昼間にあえて利尿剤を服用することで、日中に尿をたくさん出すことで夜間頻尿が起きにくくする治療法もあります。
夜間頻尿の原因が膀胱の問題ではなく、睡眠障害にある場合はこちらの治療を行う必要があります。
そのため、睡眠薬の服用やうつ病などが原因で眠れない場合は抗不安薬なども服用する必要が出てきます。
もし、日中に活動量が少ない場合は日中に運動をする必要もあります。
また、夜に睡眠を促す「メラトニン」というホルモンの分泌を増やすためにも、朝日を浴びることも重要となります。
夜間頻尿に対する鍼灸治療の考え方や効果について。
夜間頻尿に対する鍼灸治療の効果ですが、個人差はありますが改善は可能となります。
当院でも夜間頻尿の改善のために来られる方はいませんが、問診をしているとやはり夜間に2〜3回はトイレに行くことがあるという中高年の方は多々いらっしゃいます。
しかし、ほとんどの方が鍼灸治療をしていることで夜間にトイレに行く回数が徐々に減っていかれます。
そんため、なかなか薬を飲んでも改善しないという方は鍼灸も検討されることをおすすめいたします。
東洋医学では夜間頻尿の原因は腎と膀胱の弱りがメインと考えます。
頻尿ということで膀胱の問題と考えてしまいますが、東洋医学では膀胱だけではなく、腎も関係してきます。
膀胱は蓄尿と排尿の機能という点では現代医学と同じですが、腎は泌尿器全体と関係してくることになります。
誰しもが、歳を重ねることで臓器は弱ってきますが、中でも腎や膀胱が弱ることで頻尿となってしまいます。
また、この腎と膀胱が弱ってるケースでは夜間だけではなく、日中も頻尿であることが特徴となります。
東洋医学では肝と心は睡眠と関係がある臓器になります。
そのため、この肝と心の問題により睡眠障害が起きている場合はこちらを治療していくことになります。
具体的にはこの肝と心はストレスの影響を受けやすい臓器になるため、ストレスや不安感などで睡眠に影響が出ているケースとなります。
つまり、夜中にトイレに行きたくて起きるのではなく、夜中に目が覚めてしまうためにトイレに行くという方はこの部分に問題があると考えて鍼灸治療を行っていくことになります。
30代後半の女性。
毎晩、2時間おきにトイレに行き、トータルでは4〜5回はトイレに行くため、朝までぐっすり眠れることはほぼ無い状態が2か月ほど続いている。
日中に関しては6〜7回ほどだが、最近はいきまないと排尿がし辛くなっている。
泌尿器科で薬を処方してもらうが効果なし。
【弁証】:腎気虚による夜間頻尿
週1回の治療ペースで行っていく。
気海穴と申脈穴に20分置鍼した後に、気海穴にお灸を10壮、また自宅でもお灸を行っていただく。
当日は帰宅後に眠気が来たため、そのまま1時間ほど昼寝をする。
夜間尿はあったが、当日の夜から夜間尿は2回で済むようになる。
2回目以降は同様の施術を行い、計9回で夜間尿は週に1〜2回になったため治療を終了。
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