最近、食事をする時に顎が痛んだり、音がする、口をあけにくいと感じている方へ。
このような症状がある場合は顎関節症の可能性があります。
本記事では顎関節症について、歯科医での治療やセルフケアの方法、鍼灸治療の効果などについて解説しております。
顎関節症は口を開けたり閉じたりする際に額関節部に痛みやクリック音、酷い場合では口を開けることができなくなってしまった状態になります。
顎関節症の男女比では女性の方が多く、10代~20代の女性がなりやすいと言われております。
これは女性の方が顎の筋肉が弱いことが関係していると考えられています。
また、日本人の成人の約2人に1人が額関節に何かしらの症状があるという報告もあります。
顎関節症の原因は今までは「かみ合わせの問題」や「口を大きく開けたこと」などと言われてきました。
しかし、現在ではストレスとの関係性や歯の食いしばりによる顎関節周辺の筋肉の問題などが言われています。
こういったことが無意識に行なわれることにより、顎周辺の筋肉が過緊張を起こすことが問題となります。
また、その他にも「頬杖を付く癖」、「うつぶせの状態でスマホを見る」など、こういった動作も顎関節症を誘発しやすくなります。
頬杖をついたり、うつぶせの状態は下顎を上顎に押し付けるような形になり、額関節への負担が増してしまうためです。
顎関節症の代表的な症状は以下になります。
このような症状があれば1つ以上あれば顎関節症の可能性が高くなります。
顎関節症の症状の中でも特に問題があるのが「痛み」がある場合です。
口の開口、咀嚼時などに痛みがある場合は歯科医に相談するようにしましょう。
歯科医で顎関節症の治療としてでできることはマウスピースを作ることやかみ合わせのチェックになります。
特に歯を食いしばる癖や歯ぎしりがある場合などは歯科医でマウスピースを作り、額関節への負担を軽減させることが大切となります。
ただし、顎関節症の症状である「痛み」が酷い時に歯科医に行くことはあまりおすすめできません。
というのも、歯科医では口を大きく開ける必要があるため、症状が酷い時はとてもじゃないが口を大きく開けることはできないと思います。
痛みが落ち着くまでの期間は安静にして顎関節への負担を減らし、歯科医に行くのはある程度症状が治まってからにしましょう。
顎関節症になってしまった場合は歯科医での治療だけではなく、自身でのセルフケアも行う必要があります。
顎なのに側頭部?と思われるかもしれませんが、口を開ける時、噛む時に側頭部にある筋肉も使用しています。
特に食いしばる癖がある方はこの側頭部の筋肉(側頭筋)をマッサージするとかなり痛がる方が多い傾向にあります。
そのため、この部分のマッサージは念入りに行うようにしましょう。
顎関節症は歯科医でのマウスピース以外も鍼灸治療でも改善可能な症状になります。
そのため、顎関節症の鍼灸治療の効果、やり方、症例などをご紹介していきます。
顎関節症に対して鍼灸治療は意外と効果を発揮する症状の1つになります。
顎関節症に対して鍼灸治療が効果を発揮する理由は
このような効果があるため、顎関節症に対しても鍼灸治療が効果を発揮することになります。
あご周辺の緊張した筋肉や側頭筋に対して直接的に鍼を打つことで、筋肉の緊張を緩和させることができます。
また、身体の治療も並行して行うことにより、身体的、精神的なストレスの緩和も行っていくことで顎関節症を改善していきます。
顎関節症に対する当院の鍼灸治療のやり方としてはまずは東洋医学の観点から一人ひとりの体質を見極めることから始まります。
これは顎関節症だけではなく、どのようなお悩みの方がお越しになっても同じことを行います。
そして、どの経絡上(気の流れ道)に問題が生じているかを見極めていきます。
顎関節症で関係してくる経絡はこちらになります。
これらはすべて顎周囲を通る経絡になります。
そのため、この辺りの経絡の通りに問題が起きることにより、顎関節症の症状が出てくることになります。
顎や側頭筋に対しての鍼灸治療は基本的には行いませんが、こちらはケースバイケースとなり、症状が酷い方に対しては行うこともあります。
40代女性。
1週間ほど前に食事をしている際に左側の顎に痛みが起きたため、歯科医に行くと顎関節症と診断される。
顎関節症は20代の頃にも発症したことがあり、当時は名古屋へ引っ越してきたことによるストレスから発症。
当時は歯ぎしりもあったため、マウスピースを使用することで自然治癒する。
現在は左の顎だけではなく、左側頭部の張るような感じ、左肩、左腰の痛みなど体の左側に不調が出ている。
また、歯科ではかみ合わせに問題はないとのこと。
【弁証】:胆経経気不利による顎関節症
【治療】
百会(左)に5番鍼で10分置鍼。
鍼を刺した直後から口の開閉時の痛みが5→1ほどになる。
以後は百会穴を中心に治療すること3回の治療であくびの際にやや不安があるが、痛みはほとんどないために治療は終了。
顎関節症の治療は顎に鍼を刺すと思われて来院されましたが、顎とは全く関係のない頭に鍼を1本刺しただけで痛みが軽減したことに非常に驚かれていましたが、乱れたバランスを整えることで改善していきます。
この方は左側の足の少陽胆経という側頭部から体の側面を通る経絡が詰まった状態でしたが、この詰まりを百会穴で改善することで結果的に顎関節症による顎の痛みが改善できました。
顎関節症は顎に痛みが出てくるため、食べたいものが思いっきり食べられないということになってしまいます。
治療に関してはこれと言って有効な治療法はなく、歯科医でマウスピースを作るくらいなります。
しかし、鍼灸治療は顎関節症にも非常に効果を発揮してくれます。
そのため、顎関節症でお悩みの方は鍼灸治療を試してみてはいかがでしょうか?
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