潰瘍性大腸炎は国の指定難病になっている原因不明の消化器疾患になります。
日本においての患者数は約22万にいるとされておりますが、近年では増加傾向にあります。
主に大腸の粘膜に慢性の炎症を引き起こし、下痢、血便、発熱、体重減少などの症状が出る炎症性の腸疾患。
日本においては指定難病に分類されており、未だ有効な治療は確立されていない疾患になります。
発症年齢は20~40代に多く診られ、男女比ではやや女性の方が罹患率が高くなっており、近年では内視鏡検査技術の向上や病気の認知度が上がったことなどにより患者数は増加傾向にあります。
同じ慢性の腸疾患であるクローン病とも症状が似ているが、潰瘍性大腸炎では粘膜の炎症が大腸に限局しているのが特徴になります。
また、潰瘍性大腸炎は炎症する部位によって直腸炎型、左大腸炎型、大腸全体に炎症が起きる全大腸型などがありますが、直腸炎型が多く診られます。
原因は不明とされていますが、免疫の異常や心理的な異常が指摘されているためにストレスとの関与は大いにあるとされています。
県外の大学へ行き、1人暮らしを始めた途端に潰瘍性大腸炎になってしまった友人がいます。
また、食生活の欧米化による脂質の取りすぎも原因ではないかと言われています。
腹痛、下痢、発熱、血便などがあり、長期にわたると貧血や体重減少などの全身症状が出てくることもあります。
また、症状が落ち着いている「完解期」と症状が再発する「再燃期」があり、これを繰り返し、完治は難しいとされています。
潰瘍性大腸炎になった場合はどのような治療が行われるのか?
また、食生活で気を付ける点などについて。
病院での治療の原則は内科的な薬物療法となり大腸の炎症を抑えるため、ステロイドなどの炎症を抑える薬によって治療を行います。
ただし、以下のケースでは手術が必要となります。
また、全大腸炎型で10年以上経過すると癌を発症するリスクが高くなってしまうため、注意しなければいけません。
潰瘍性大腸炎は治療をしていても良くなる時期と悪化する時期を繰り返し、完治することはないと言われています。
しかし、薬でうまく症状を抑え食生活にも気をつけていれば健康な人とさほど変わらない生活を送ることができます。
潰瘍性大腸炎の方の食事内容としては以下のような内容が理想となります。
潰瘍性大腸炎になってしまったとしても、症状が落ち着いている時期は基本的には食事制限は必要はありません。
しかし、症状が出ている再燃期においては気を付けておきたい食べ物はあります。
特に脂肪分の多い食べ物は症状を悪化させてしまいます。
そのため、肉類類はできるだけ茹でる、蒸すようにするか、脂肪の少ない部位の肉を選ぶことが望ましくなります。
また、スナック菓子、アルコール、炭酸飲料、カフェイン、辛い食べ物、冷たい飲み物、食物繊維が豊富な食べ物なども控えるようにしましょう。
潰瘍性大腸炎に鍼灸は効果があるのか?どうやって治療をしていくのか?
潰瘍性大腸炎の鍼灸治療の効果や当院の鍼灸治療のやり方、症例など。
潰瘍性大腸炎の治療となると多くの方が病院での治療を行いますが、なかなか効果が出ないこともあります。
そのため、中には東洋医学である鍼灸で潰瘍性大腸炎は改善できないかとお考えになる方もいらっしゃると思います。
では鍼灸治療は潰瘍性大腸炎に対して効果があるかどうかですが、結論から言いますと、WHO(世界保健機構)にも効果が認められている疾患になります。
鍼灸が潰瘍性大腸炎に対して有効な理由としては以下になります。
主にこの2つの作用が関係してきます。
潰瘍性大腸炎は大腸に炎症が起きている状態ですが、鍼灸を行うことで白血球の働きが活発(増加)になり、炎症を抑えるように働きます。
また、潰瘍性大腸炎はストレスとの関係があるため、ストレスにより乱れた自律神経を整えることで大腸の働きを改善していきます。
潰瘍性大腸炎は現代医学では原因不明とされる病気ですが、東洋医学の観点から身体の状態を診ていくと、生活習慣の影響やストレスなどが関係していることが分かってきます。
そのため、西洋医学では治療が難しかったとしても東洋医学が効果を発揮する病気でもあります。
当院では東洋医学の理論に基づき、潰瘍性大腸炎を発症している原因となる一人ひとりの体質に合わせた鍼灸治療を行っていきます。
また、東洋医学では潰瘍性大腸炎は「痢疾(りしつ)」という病気に分類され、はるか昔ら鍼灸でも治療が行われております。
痢疾とは腹痛、粘血便、裏急後重などの症状を伴う状態になり、単純な下痢は「泄瀉」と言います。
痢疾には以下のような分類があります。
このように痢疾には色々なタイプがあるため、一人ひとりの体質を見極めて鍼灸施術を行っていきます。
治療には時間がかかってしまいますが、鍼灸は副作用のない体にやさしい治療法になります。
20代女性。
2022年5月に会社の健康診断で便潜血があることが分かり、再検査をすると直腸型の潰瘍性大腸炎と診断される。
しかし、この時は特に腹痛や下痢などの潰瘍性大腸炎と思わしき自覚症状はなかった。
CRPは0.5とやや炎症反応がある程度。
思い返すと、最初に就職した会社でのストレスから血便が出ることがあった。
6月になると潰瘍性大腸炎になったしまったことと、自宅周辺での工事の音がストレスとなり、朝の腹痛、下痢(膿血便)、残便感に加えて、耳鳴りと不正出血が起きるようになる。
※今は血便は治まっている。
【処方されている薬】
診断前の食生活は肉類やコンビニ弁当、カップラーメンなどが多かったが、今は魚を中心にし自炊を心がけている。
また、1日30分のウォーキング、入浴の際にも湯船に浸かるようにしている。
【弁証】:肝脾不和証>大腸湿熱による潰瘍性大腸炎
仕事のストレスが原因で肝鬱から脾胃に影響することで腹痛や下痢を引き起こし、さらに肉食、コンビニ弁当、カップラーメンという食生活により大腸に湿熱がたまっている状態と考える。
そのため、鍼灸治療では気の流れを良くするとともに脾胃の調節、さらに湿熱をとる治療を行っていく。
治療はまずは週2回のペースで行っていく。
初回の治療後から耳鳴りがほとんど気にならなくなるが、腹痛と下痢、残便感に変化はなし。
2回目の治療後から日によっては形のある便が出るようになり、残便感も少しマシになる。
4診目以降は週1回の治療に変更するが、下痢の回数が減り、ほとんど固形の便が出るようになる。
7診目には下痢はほぼ出なくなり、残便感もあまり気にならなくなる。
8診目の数日後に1泊2日の旅行に行くと腹痛はなかったが、下痢になる。
9診目、1日中腹痛が起きる日があったが、病院での血液検査ではCRPが0.05と正常値になっていたため、1ヶ月後に内視鏡検査をすることになる。
10診目、週末になると調子が悪くなり、下痢と残便感が強くなる。
11診目以降は調子よく、腹痛、下痢、残便感がほとんどなし。
15診目、内視鏡検査の結果、大腸の炎症が治まっており、組織学的にも完解状態となっているため、薬の量が半分になり、年に1回の内視鏡検査で様子を見ることになる。
また、鍼灸治療もしばらくは月に2回継続していく。
潰瘍性大腸炎は国の指定難病になっている病気になります。
現在、この病気に対しての病院での治療としては対処療法しか手立てがない状態になります。
しかし、鍼灸治療では時間はかかるものの、潰瘍性大腸炎に対しては良い効果が認められております。
当院では潰瘍性大腸炎の原因となっている一人ひとりの体質に合わせた鍼灸施術により、体質改善していくため潰瘍性大腸炎でお悩みの方はご相談いただければと思います。
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